「アラビアの道」展に行ってきました。
2018年1月23日(火) 〜3月18日(日)まで開催されている、東京国立博物館 表慶館で開催の「アラビアの道−サウジアラビア王国の至宝」展に行ってきました。
新宿の地下街でポスターを見かけ、「行きたいなぁ〜」と思った数日後、母からこの展示に誘われ、妹と3人で出かけました。
この展示は、「第1章 人類、アジアへの道」、「第2章 文明に出会う道」、「第3章 香料の道」、「第4章 巡礼の道」、「第5章 王国への道」と、5つのパートに分かれ、アラビアの先史時代から18世紀に誕生したサウジアラビア王国までの歴史と文化を紹介するものでした。
動物の骨、石器や矢じりから始まり、様々な時代の出土品、そして、サウジアラビア王国の初代国王となったアブドゥルアジーズ王の遺品まで展示されていて、見ごたえがありました。
フラッシュ無しの撮影がOKだっため、数枚撮影した写真からレポートします。
さて、展示を見にいった日、平日の午後で寒い日だったためか、ゲートやチケット売り場に人が行列していることもなく、すんなりと入れました。
ゲートを入って、左側のエリアにある表慶館で行われています。
(東京国立博物館はいろいろな建物があるのを知りませんでした)
内部も素敵な建築物でした。
展示は、数万年前の動物の骨や旧石器時代の発掘物から始まりました。
石器時代でも時代が進むにつれ、矢じりの角度や線の現れ方がシャープになっていき、アラビア文化が産声をあげている感じでした。
次のパートに進むと、紀元前2500年頃のメソポタミア美術の特徴をもつ石像や、精緻な文様が刻まれた石製容器が展示されていました。
文様によっては、今の時代にあっても良いと感じるものがあり、興味深かったです。
「第3章 香料の道」のパートは、香油に関するものもあり、昔も今も、香料は価値があるものなのだと解りました。
展示ではフランキンセンス(乳香)やミルラ(没薬)の樹脂がありました。
アラビア半島は紀元前1000年以降に香料交易で栄え、ヘレニズム・ローマ時代(前3〜後3世紀頃)にも同じく繁栄したそうです。
この写真は、前4世紀ごろのアラム文字による奉献石文で、上の部分は絵やモチーフが刻まれ、下の部分に文字が刻まれていました。
この上部に刻まれいていたモチーフが天使に見えるものがあり、それがなんだか可愛く見えました。
写真の小さな容器は、1世紀ごろのガラス製の香油壺です。
現在でもフランキンセンスやミルラは高価なものですが、1世紀頃も現在と同じように少量で扱われていたのだと思いました。
この香油壺はとても小さく、現在の5ミリ瓶よりも小さいものだと感じました。
また、糸と針に関する発掘物があることも興味深かったです。
前3から後3世紀ごろのものだそうで、この糸と針は、針は今でも使えそうな感じでした。
同じ時期の織物もありました。
このランプも前3から後3世紀ごろのものだそうです。
時代が進むにつれ、生活に金属が生活に入ってくると、新しいもの、新しい時代に変わったと感じるものがあります。
それは硬貨だったり、鉄砲だったりするのですが、その中に繁栄と衰退を繰り返し生き残った文化が受け継がれているように感じました。
この展示で多かったものの一つに文字がありました。
文字の形態に違いがあることは、アラビア半島で文化の違いがある証なのかもしれません。
旧石器時代には緑があったアラビア半島ですが、前4000年以降、乾燥化が進み砂漠へ変わっていったそうです。
その中から、様々なものが出土されると、今の地球とは違う姿をしたアラビア半島とそこに住んでいる人たちがいたのだとわかります。
まったく知らない世界を垣間見たけれど、石器時代のものなどは日本にもあるものだったりするので、人間が移動しながら、人と人が出会い、生み出したものが交易を通して交わって、文化が生まれていく様子がわかる展示でした。
おまけ情報ですが、表慶館前にはアラビアの遊牧民テントがあり、アラビ ックコーヒーとデーツを無料で味見ができました。
アラビ ックコーヒーは初めて口にしましたが、とても美味しかったです。
このテントの展示とコーヒーの試飲サービスは、2月4日(日)までだそうです。
お土産に図録を買うほど、楽しい展示でした。
チャンスがあればもう一度行って、今回以上に時間をかけて見たいと感じた展示でした。
Kaoru Kurosawa
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