空を見上げて
「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」という企画展を見るために、横浜美術館へ行ってきました。
http://www.yaf.or.jp/yma/jiu/2012/capataro/
NHKスペシャル「沢木耕太郎 推理ドキュメント 運命の一枚 〜"戦場"写真 最大の謎に挑む〜」があることを知り、この番組を見たあとに出かけたので、興味深く写真を見ることができました。
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2013/0203/index.html
戦争、戦争、ちょっと日常、そして戦争。
それがキャパの写真でした。
ロバート・キャパは、のちにキャパと名乗る、アンドレ・フリードマンと彼のパートナーであった、ゲルダ・タロー(本名ゲルタ・ポホリレ)が作り出した架空の人物だったそうです。
しかし、ゲルダは戦死し、アンドレがロバート・キャパを名乗り、写真家として生きていくことになります。
NHK特集でとりあげられた、「崩れ落ちる兵士」の写真も見てきました。
今まで、この写真はタイトルの「崩れ落ちる」という言葉から、崩れ落ちた理由は、兵士に弾丸があたったからだと思っていました。
沢木耕太郎氏の推理とその推理からの分析を知った上で写真を見ると、今までとは違って、やっぱり、足を滑らしたかもしれないという印象を感じながら見ました。
今回、キャパの写真で、今までとは違うことを知ることで、今までと同じではいられないという体験をしてきました。
また、展示では、プリントされた写真がどのように雑誌に掲載されたのか、雑誌も展示されていました。
写真家の手から離れた写真のその先の世界を見ていることがはっきりと感じられる展示だなと思いました。
二人の写真家という企画展なので、ゲルダ・タローの写真もありました。
今まで何かしらゲルダの写真を見てきたと思いますが、彼女の撮影したものだと認識をしながら見たのは、私にとって初めてのことでした。
ゲルダは戦争の恐怖や愚かさを撮影していたと思うのですが、写真から私が感じたことは、「今、ここ」を撮影している高揚感というか、力強さでした。
写真を通じて、戦争の悲惨さを世界に訴えることができる、正義という言葉がいいのか、うまく言えませんが、ゲルダの意図が写真に写りこんでいるような気がしました。
それとは違い、キャパの写真には、ゲルダのような高揚感とはまた違った情熱を感じました。
現実を写しながらも、命がかかっている現場の緊張感が写しこまれているが故に、かえって人間味が増しているようななんとも言えない感じでした。
今までもキャパの写真は見てきましたが、久しぶりに見て、自分の感じていることが変わっているので、私自身も変わったのだなと思いました。
ゲルダは下から上を見上げて撮影する構図を好んだそうです。
私は下から上というよりも、空を見上げて撮影することが好きです。
理由はわかりませんが、気づけば空を撮影しています。
今回の横浜でも空を見上げて写真を撮影してきました。
横浜美術館を出た広場から見上げた空の風景
多摩川を渡り、東京へ戻るときに見上げた空の風景
こういう写真を撮影できる、今に感謝です。
Kaoru Kurosawa
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