ガルバナム
晴れ渡る香り
Clear fragrance
今回はガルバナムです。
この絵は2012年4月のカレンダーの絵に使いました。
この香り、聖書の出エジプト記30章34節に出てくる、ヘルベナ香がガルバナムです。
原産はイランで、せり科の植物で、緑色の樹脂が茎や枝からとれます。
古代から薬や香水などに使われてきたそうです。
香りの効能としては、抗感染性、鎮痛、鎮静作用、あと防虫や古代エジプトでは死体防腐処理などに利用されていたそうです。
この絵を描いたとき、妖精のポーズが手のひらを上にして腕を伸ばしているものになりました。
手のひらに何か載せたくなって、緑色の樹脂の玉がいい!とひらめきました。
香りが風に乗って、必要な人へ香りが届いて、良いことが起きたら素敵だなって思ったことを思い出しました。
そんなこと思って、嬉しくなって、何も考えず、両手に緑色の玉を二つ乗せて、出来上がりを見たら、なんだか格好悪いなぁ〜って思ったのですが、見えたまま、ひらめいたままで描いているので、そのままにしました。
この香りのことはほとんど何も知りませんでした。
知っていたのは、聖書に出てくるということだけ。
絵を描いたときは植物を調べることに気を取られ、この香りが出エジプト記でどのように記載され、何のために使われているのかまでは調べなかったと思います。
今回、この記事を書くために、改めて、新共同約聖書で出エジプト記30:34を読んでみると、この箇所が始まるところに「香料」と書かれていて、38章まで続いています。
神様がモーセに香料をどう作り、何に使うのか、と伝えているので、一見地味な記事であるような印象が私にありました。
ところがどっこい、さらっとすごいことが書かれていたので、軽い驚きがありました。
聖書を抜粋すると長くなるので、抜き出してみます。(正確には聖書をお読みください)
まず、香料の作り方です。
ナタフ香、シェヘレト香(ラブダナム)、ヘルベナ香(ガルバナム)と純粋な乳香をそれぞれ同量取ります。
香料師の混ぜ合わせ方に従ってよく混ぜ合わた、純粋な聖なる香を作ります。
香を作ったらどうするのか・・・
香の一部を細かく砕いて粉末にし、粉末の一部を臨在の幕屋の中の掟の箱の前に置きます。
そして、何が起きるのか・・・
その場所で、神様が出会ってくれる、「あなたたちにとってとても神聖なもの」の出会いが起こる
さらに、ちゃんと注意があります。
同じ割合で作った香を私用に使ってならない。
それ(この香)は主に対して聖なるものとしなければならない。
また、類似したものを作って、香りを楽しもうとするものは、すべてその民から断たれる
とあります。
これを読んで軽く驚いたのは、
・4つの香りを混ぜるときに、「香料師の混ぜ合わせ方に従い」と書かれており、この時代に既に香料師がいて、混ぜ合わせ方がちゃんとあったこと。
・この香を粉末にして決められた場所に置けば、神様が出会ってくれること、ということは、神様が会ってくれる条件は、「香り」と「決められた場所」だけということ。
・そして、この香を私用に使ってはいけない、類似品も楽しんではいけない
ということでした。
この香り、これらの記載から、はっきりとわかることがあります。
4つの混ぜ合わせた香りのパワーがものすごく強い、大きい、神聖、というか、言葉で現すのが難しいほどのパワーがあること。
そして、聖域でしか使えないこと。
さらに、ある特定の人たちしか扱えないこと。
となると、ある特定の場(神聖な場)で、この香りが正しく働く状態であれば、神様と人間が同じ場にいられるわけで、最初から人間にはコントロールできないエネルギーがある香りだといわれているようなものだと思うのです。
そして、香料師に釘をさしている、類似品もだめってことは、人間には扱えないよってことをさらに強調しているのだろうと思いました。
神様のことはわからないけれど、神様が人間と出会うときに、この4つがあわさった香りを指定したということであれば、神様はこの香りが好き、神様も居心地がよい香りってことになるのだなって。
だったら、人間が扱えないのもわかるなぁ〜と。
言い過ぎかもしれませんが、たった5章の短い文章で、神様は、香りにはパワーがあること、また、香りは人と場所を選ぶ、若しくは、香りが人と場所をよいものとすることを私達に教えている、香りの力を神様が証明しているのではないかと思いました。
この香り、嗅いでみたいと一瞬思ったのですが、ガルバナムとラブダナム(ロックローズ)とフランキンセンスを混ぜたことを想像するだけて、けっこう強烈で、香り酔いし、倒れそうになるかもと、私は思います。
さらに、もう1つ香りが入ったら、絶対倒れる。
だから、私用使いも類似品も駄目なんだってこと、分かる気がします。
長くなりましたが、ガルバナムに話を戻します。
神様に選ばれた4つの香りの1つであるガルバナム。
出会うための香りとして使われたガルバナム。
実はこの記事を書く前の私は、気分が落ち込んでいて、頭も心も、もやもやしていたのです。
そのとき、なぜか、この絵を思いだして、そうそう、ブログ書いてみようかなと思ったのです。
記事を書く前に、ガルバナムの香りを自分が忘れていることに気づき、嗅いでみました。
そうしたら、けっこうすぐに、心のもやがすーっと晴れていくような感じで、この記事を書いている今はすっきりした気分でいます。
晴れ渡り、いい気持、そんな香りです。
そして、とても力強さを感じる香りです。
だから、神様は人間と会うために、いろいろと聖なる香りがある中で、この香りを選んだのかも知れません。
晴れ渡り、澄み切った心と場所、そういう状態だと神様は人間に会える。
ガルバナムはそれを生み出すために力を発揮できる香りじゃないかと、自分が使ってみて感じました。
なので、言葉は「晴れ渡る香り」にしました。
世界中の人の心が晴れ渡って、澄み切ったら、平和になれるかな・・・。
だったら、両手に緑色の玉でちょうどいいのかもしれないと、今、思っています。
そして、この絵をみて、気分が少しでも良くなってもらえたら、嬉しいです。
Kaoru Kurosawa
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